こんにちは 深井です。
今日の記事は、たった一言へのこだわりがプロダクトの意味を変える。ということについて。
事例としてご紹介するのは(株)コークッキングさんが提供している毎月ユーザー1万人増を実現しているフードマッチングサービス「TABETE」というサービスです。このサービスは、簡潔にいうと、食品ロスが出てしまいそうな売り手と買い手を繋ぐフードマッチングサービス。
それによって、食品ロスを削減するだけでなく、店舗の利益率を上げたり、スタッフの方たちの負担を軽減することなどに成功しています。そして、注目すべき点は、決して売れ残り食品の安売りサービスではないということです。
安売りしないのに、売れ残って食品ロスになってしまいそうな商品を買い手が喜んで買いに来る仕掛けがそこには存在しているんです。
なぜ、安売りしなくても、売れ残りそうな食品のロスを削減できているのか?
食品を大量に捨てることは良くないと誰もが知っているし、感じていながらも中食産業では食品ロスが閉店時には出てしまうことを織り込み済みのビジネスモデルが出来上がっています。
そして、これまでは、そのロスを削減するためには値下げという手段が、選択肢としてはあったものの、多くの店舗がブランドイメージが毀損することを恐れ、捨てる方がビジネスにとって良いということで廃棄され続けてきました。
これまでも食品ロスを削減するためのサービスは、さまざまな解決策が営利、非営利でありますが、いずれも無償で提供するか、安価で引き取ってもらって再販売するモデルです。
ですが、中食業界で10年、20年と脈々と続いてきたこの食品ロス織り込み済みの課題を、コークッキングの「TABETE」は、たった一言へのこだわりによって塗り替えてしまうほどの勢いでユーザーが増え続けているんです。
プロダクトの意味を表すたった一言へのこだわり
その一言へのこだわりとは、「レスキュー」という言葉です。TABETEでは、店舗で食品ロスになりそうな商品を店舗側が出品したものを、ユーザーが購入したい時にユーザーが押すボタンには「レスキューする」と書かれています。
「購入する」や「注文する」ではなく「レスキューする」です。このたった一言が売り手である店舗にとって、そして、TABETEを使って食品を購入する買い手にとって、TABETEで自分たちがしていることはどんな意味や価値のあることなのか?TABETEとは何なのか?の意味を与え続けています。
そしてその結果、その価値感や目指す世界に共感した人たちの応援の連鎖によって、TABETEの利用ユーザーは広告宣伝なしで毎月1万人超で増え続けているんです。
あなたのプロダクトは、ステークホルダーにとって、社会にとってどんな意味をもたらすものなのか?
ウェブサイトやアプリ上で、ユーザーに投げかけるコールトゥーアクション。一見何気ないその一言が、急速な課題解決の大きなトリガーになる力を持っています。
あなたのプロダクトに使おうとしているそのボタン、使っているそのボタンは、本当にその言葉でいいですか?あなたのプロダクトの意味に相応しいたった一言に、ぜひこだわってみてください。
ー深井
PS
この他、コークッキングとTABETEの秘密の全容については、メルマガ読者さん限定・不定期募集の有料会員サービス「MSS」(Monthly Startup Secrets)12月号で代表川越さんへのインタビューを公開しています。
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Social Challenges are Business Opportunities!!
【ナビゲーター】深井 宣光
Startup-Japan ナビゲーター/KUSUNOSE&Co. SDGs/スタートアップ事業/COO一般社団法人SDGs支援機構 事務局長/経済産業省関東経済産業局のベンチャー支援事業サポーター/東京都スタートアップ支援事業「NexsTokyo」メンター
社会課題をビジネスで解決する仕組みと成功法則の調査・研究者。各種メディア、企業でのSDGs/サステナブル企画の、企画・監修のほか、講演、執筆、社会課題解決型のスタートアップのメンタリングなど多岐に渡って活動。NHK WORLD JAPAN「未来計画Q」公式サポーティングパートナー、フジテレビ「チャギントンSDGs」シリーズの他、日本テレビ「ZIP!」、テレビ東京「秒でNEWS180」「美しき捨て方」等、各局のTV番組等を監修及び出演。Googleが世界規模で推進する「Humans of YouTube」にて、社会的・文化的・経済的に有意義な影響を与えた日本を代表する100人の一人に選出。著書に「小学生からのSDGs」(KADOKAWA)。「SDGsビジネスモデル図鑑・社会課題はビジネスチャンス」(KADOKAWA)がある