こんにちは 深井です。
先日、戦後ある企業が、終戦と共に仕事が皆無になり、倒産危機に陥った際に、その企業を救った新規事業の話を、御年82歳の経営者の方から教えて頂き驚きました。
なぜなら、その企業とは今も有名な企業ですが、戦前の事業は現在とは全く繋がりが見えなかったからです。
そして、その企業が倒産危機から脱するために行ったことが、まさに今経営の先行きに課題を抱え、新規事業を必要としている企業にとって、必要不可欠な視点だったので、今日はそのお話をシェアしたいと思います。
その企業とは、、、
空調機器で有名な、ダイキン工業。
1924年の創業当時、現在のダイキン工業の名前は、大阪金属工業所。製造していたのは、エアコンではなく、戦車の砲弾や砲用信管など。軍需産業の中で企業として陸上自衛隊・海上自衛隊向けに各種兵器を製造し、業績を伸ばしていました。
しかし、終戦とともに当然兵器製造製造を必要とする需要は一瞬にして消え去り、同社は以外にも軍需産業で稼いでいた企業はお先真っ暗な状態に陥ったといいます。
当時の苦境について同社の企業史にはこう書かれています。
「戦時期の大阪金属工業の拡大の成果は、その多くが敗戦とともに命脈が尽きていた。工場施設は、何一つ戦後の発展に直接結びつくものではなかったのである。」
絶望的ですね。。。
しかし、そこから自体は好転します。
当時は現代の用に工事用の重機や、運搬用の機器が普及しておらず、重量のあるものを移動させたり、インフラの工事は肉体労働者の体一つにかかっており、過酷な作業に身体を痛めるものも多数。
工期の遅れは、戦後の社会復興そのものを左右し、それ自体が大きな社会課題でした。
そこでその時、同社が活路を見出したのが、軍需産業で培ってきた同社の金属加工技術や油圧装置部品の製造技術を当時の社会課題の解決に使うこと。
そのことについて、前段の企業史にはこう続けて書かれています。
「真に礎となったものは、企業成長のなかで培われた無形の資産であった。
その一つは、企業成長の過程で開発・蓄積された製品技術である。
もともとは、民需品として取り組んだ冷凍機やフロンをはじめ、軍への納入を主要販路としたエンジンや油圧装置部品なども、そこで培われた技術は戦後の民需品生産に、即座に応用されうるものであった。」
そう、同社は終戦によってあっという間に激変した真っ逆さまの危機から脱して、生き延びるために、いつまでも自分たちのこれまでの仕事にしがみついているのではなく、自社の既存技術や強みを、新た課題解決に転用した新規事業を創り上げることで、危機を脱して成長。
現在のダイキン工業が、変わり続ける社会の課題に対して柔軟に事業展開できているルーツはここにあったということだったんです。
もしかしたら、冷静になってみると、あなたの会社もかつての同社の用に、もはや未来のない需要、縮小し続ける市場の末路に直面していませんか?
もし、そうであるなら、同社のように、既存の技術、ノウハウを、今社会で起きている課題、解決されていない課題の解決に使えないか?
ぜひ、固定概念を捨てて目を向けて見てください。
すでに同じような危機に直面して企業の中には、同社のように新たな課題に対して新規事業の活路を見出し、成長している企業の姿が見えてくるはずです。
そして、あなたの会社にもその事業機会があるはずです。
社会課題をいまこそ成長事業を創り出す機会に
ー深井
Social Challenges are Business Opportunities!!
【ナビゲーター】深井 宣光
Startup-Japan ナビゲーター/KUSUNOSE&Co. SDGs/スタートアップ事業/COO一般社団法人SDGs支援機構 事務局長/経済産業省関東経済産業局のベンチャー支援事業サポーター/東京都スタートアップ支援事業「NexsTokyo」メンター
社会課題をビジネスで解決する仕組みと成功法則の調査・研究者。各種メディア、企業でのSDGs/サステナブル企画の、企画・監修のほか、講演、執筆、社会課題解決型のスタートアップのメンタリングなど多岐に渡って活動。NHK WORLD JAPAN「未来計画Q」公式サポーティングパートナー、フジテレビ「チャギントンSDGs」シリーズの他、日本テレビ「ZIP!」、テレビ東京「秒でNEWS180」「美しき捨て方」等、各局のTV番組等を監修及び出演。Googleが世界規模で推進する「Humans of YouTube」にて、社会的・文化的・経済的に有意義な影響を与えた日本を代表する100人の一人に選出。著書に「小学生からのSDGs」(KADOKAWA)。「SDGsビジネスモデル図鑑・社会課題はビジネスチャンス」(KADOKAWA)がある